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HOMEICT戦略 ≫ インダストリアルIoT (2017.5.5)

目次

  • スマートファクトリー/スマートメンテナンス
  • アクチュエータの制御(コントローラ)
  • IoTプラットフォーム
  • 構内ネットワーク(コントローラ~ゲートウェイ)
  • フィールドバス(センサ/アクチュエータ~コントローラ)

インダストリアルIoT

IoTの活用産業分野は製造業のみならず、公共・医療・教育・建設・農業・運輸・小売・コンシューマサービスなど多岐にわたる。

インダストリアルIoTは、IoTのテクノロジーを工業界に適用しようとするコンセプトだ。

製造業に於いてもインダストリアルIoTを活用して、製品売りからサービスビジネスへとビジネスモデルの転換/変革を図る企業がではじめている。 時流に乗り遅れる事の無いよう、スマートファクトリー/スマートメンテナンスのサービスを企画した。



スマートファクトリー/スマートメンテナンス

具体的内容を記載出来ないのが申し訳ないのだが、概要は以下の通りとなる。

お客様先の工場への導入により、設備のメンテナンスの精度を高度化し、自社製品をより効果的に使用してもらう事を目的とする。 FAの基本的な要素である、センサ(計測)、コントローラ(制御)、アクチュエータ(作動)に加えて、 IoTクラウドプラットフォームを組み合わせてサービスを形成する。


全体像と機能

工場設備に監視項目を設け、それぞれに対応したセンサにより状態監視する。

センサはゲートウェイ(GW)もしくはコントローラ(PLC等)に接続し、 センシングデータはGWを経由してIoTクラウドベンダーのデータセンター(DC)へと送信される。 各監視項目にはクラウド側で閾値を設定しておき、正常値の範囲外となった場合に監視画面にアラート表示すると共に、 登録されたメールアカウントへアラートメールを発信する。

監視項目のうちのいくつかは自動補正項目とし、適正値を設定しておく。 異常値と判定された設備/項目に対して、補正の為の計算を行い、アクチュエータの作動方法を決定させる。 各々のアクチュエータに対する補正の為の動作の目的値を、当該設備を管理するコントローラ(PLC)のデータレジスタへセットする。 コントローラは補正の指示に基づいて、適正値の範囲に収まるまでアクチュエータを作動させる。

工場設備スマートメンテナンス 全体概略図


アクチュエータの制御(コントローラ)

センシング項目には、監視の為の測定項目と、補正動作の為の測定項目がある。

監視項目は、単純に閾値判定を行ってアラート発呼する項目と、上限/下限/適正値を用いて補正値を計算する項目に分かれる。

計測間隔は、監視は分単位レベルで良く、補正動作時の測定はミリ秒単位となる。

閾値・上限値・下限値・適正値などは、設備/機械装置ごとに異なる場合も想定される為、これらの値はプログラム内部に埋め込みたくない。


「①監視&アラート発呼」はクラウドが、最も相性が良いだろう。

「②自動補正の為の計算」は、外部パラメータ値を用いた複数の計算式となる。 外部パラメータとする閾値・上限値・下限値・適正値などはマスタ化し、利用者側でメンテナンス出来るのが望ましい。

「③自動補正の為のアクチュエータの制御」は、ミリ秒単位のセンシングに基づいた制御となる為、PLC等のコントローラの仕事となる。

アクチュエータの動作にタイムラグは許されないので、一旦制御の動作が始まったら、クラウドのIoTプラットフォームとのやり取りはNGだ。


「②自動補正値の算出」は、クラウドIoTプラットフォームを利用するか、エッジコンピューティングにするか、悩ましいところだ。

ハイパーバイザー上でWindowsとPLCエンジンを動作させるOMRONのIndustrial-PC、三菱電機のC言語コントローラ(VxWorks)、 横河電機のLinuxコントローラ・e-RT3など、インダストリアルIoTをにらんだ高機能・高性能コントローラも出始めた。

特に興味を持ったのは、CONTEC社のCONPROSYSというM2Mコントローラだ。

OSはLinuxで、フィールドバスI/F、Ethernet-I/F、無線通信機能などを有し、演算・条件分岐・クラウドデータ送信などの機能ブロックアイコンをグリッドエリアに ドラッグ&ドロップするだけで、監視・制御処理をGUIプログラミング出来る。また、通信機能を用いて、リモートでメンテナンスする事も出来る。

CONTEC社はクラウドIoTプラットフォームのサービスも提供しており、 クラウドサービスとコントローラを組み合わせてインダストリアルIoTの仕組みを構築出来る。


アクチュエータの制御は、コントローラのデータレジスタに補正値をセットし、 コントローラは補正値がセットされればアクチュエータを作動させて、適正値になるまで補正動作させる事にした。

自動補正値の算出は、クラウドIoTプラットフォーム側で行う事にした。



IoTプラットフォーム

自動補正値の算出は、ざっくり 「工場設備スマートメンテナンス 全体概略図」の左上の表のような感じになる。 (具体的なセンシング項目を記載するとサービス内容が分かってしまうので控えさせて頂いた m(_ _)m)

複数のセンシング項目の閾値(上限/下限/適正値など)を用いた複合条件判定となり、サービス型プラットフォームだと実現は難しい。 開発型プラットフォームか、サービス型でもAPIが提供されている必要がある。

今回は以下の様な事項に関して、実装・提供されているか否かを選定の基準にした。

  • IoTクラウド基盤からゲートウェイまでトータルでサービス提供されている(サポートの安心感)
  • ゲートウェイの構内無線通信方式(マスタ~スレーブ間)は、海外でも多数の認証を取得している
  • 自社でクラウド基盤を開発・提供している(単なるベンダーではない→本気度大?)
  • 閾値判定によるアラート表示・メール送信が出来る
  • ダッシュボードは雛型やウィジェット等が揃っており、プログラムレスで製作可能
  • 複合条件の閾値判定が可能
  • クラウド基盤上に、補正値算出などの固有機能をアドオンで実装可能
  • コントローラ・データレジスタの書き換えが可能

IoTプラットフォームサービスは、多くのベンチャー企業がスタートアップしており、中堅Sierも続々と参入している。 今回のIIoT/M2M企画では、多くのサービスベンダーにアプローチした。興味深かった企業を以下に紹介する。

サービス提供企業クラウドサービスゲートウェイ機器
ISB(アイ・エス・ビー) DataSamplr Wi-SUNセンサノード/3Gルータ
CONTEC(コンテック) CONPROSYS M2M Gateway
サン電子 Bacsoft IoT Platform Roosterシリーズ
エコモット FASTIO IoTゲートウェイ
マイクロテクノロジー CUMoNoSU 自社製品なし
インフォコーパス SensorCorpus 自社製品なし
OPTiM(オプティム) OPTiM Cloud IoT OS 自社製品なし
日本システムウェア Toami 自社製品なし(推奨品:NetComm Wireless)

ISB社の「DataSamplr」は位置付けとしては「サービス型プラットフォーム」だと思うのだが、機能拡張にも積極的で、ユーザー側でプラットフォーム上に ある程度の機能の作り込みが可能になる次期バージョンを開発中との事だった。(2016.11時点) 「Bacsoft IoT Platform」や「FASTIO」はサービス型、 「CUMoNoSU」・「Toami」などは開発型に分類できるだろう。



構内ネットワーク(コントローラ~ゲートウェイ)

工場設備のスマート化に際しては、既存の設備の改変を極力少なくし、新たな設備投資コストをなるべく抑制したい。

センサやアクチュエータは既存設備への付加設備となるのだが、電源とデータ通信経路の確保はどうしても付いて回る。 コントローラ~センサ/アクチュエータ間は比較的距離も近く、センサやアクチュエータ側の仕様によりどうしても有線にならざるを得ない。 エッジデバイスにセンサノードを付加する手もあるが、必然的にコストを圧迫してしまうので避けたい。

問題は、各設備ごとに配備するコントローラの接続だ。機械設備は顧客ごとに配置状況や台数も異なり、 工場内に新たなケーブルを敷設するとなると良い顔はされない。このハードルを越えるには、やはり無線技術の適用しかないだろう。


個々のコントローラから直接IoTクラウドベンダーのデータセンターには接続せず、一旦ゲートウェイ子機(スレーブ)に接続し、各子機から ゲートウェイ親機(マスター)へ接続すれば、IoTクラウドプラットフォームのアカウントを1つに集約でき、セルラー通信料も抑制出来る。

このゲートウェイの親子間の通信には、非セルラー系のLPWA(Low Power Wide Area)を活用する。


IoT/M2Mに用いられる無線通信技術として注目を集めている、LPWAの代表的な規格を整理した。

規格伝送距離伝送速度利用帯域(国内)
Wi-SUN 500m程度100kbps程度920MHz帯
SIGFOX数10km程度100bps程度920MHz帯
LoRaWAN8km程度10kbps程度920MHz帯
NB-IoT20km程度100kbps程度LTEバンド
ZigBee(参考)数10m250kbps程度2.4GHz帯

今回の企画ではWi-Fiのような高速・大容量通信は不要で、カバーエリアが比較的広く(数百m)、消費電力が少なく、 起動から通信開始までが高速で小容量データ通信に向く無線通信方式が適している。



フィールドバス(センサ/アクチュエータ~コントローラ)

監視・制御の為のセンシング項目は数項目あり、1つの設備に対して数種類のセンサ機器が必要となる。 センサとコントローラ、コントローラとアクチュエータは、フィールドバス等にて接続・通信する。

フィールドバスのデ・ファクト・スタンダードは、(仕様公開、利用料無料、実装が容易 等の理由から) Modbus(通信プロトコルのみの定義)となっているが、 シンプル・廉価なセンサではフィールドバス未対応の機器も多く、未だアナログ電流信号(DC4-20mA等)が標準I/Fのモノも多くある。 


※フィールドバス(FA/PAネットワーク)

 メーカー各社の連合等により様々な協会・団体が形成され、多くの規格/方式が提唱されている。

     RS-485ベースの代表的な規格/方式でも、
  • PROFIBUS(Profibus&Profinet協会/ドイツ)
  • DeviceNet(ODV協会/米Rockwell)
  • CC-Link(CC-Link協会/三菱電機)
  • MECHATROLINK(Mechatrolink協会/安川電機)
  • Modbus(運用組織なし/米Modicon/通信プロトコルのみ定義)
  •  など多くの方式がある。

"PROFINET"や"FL-net"など、Ethernetをベースとした規格/方式も数多く提唱されている。 Ethernetベースの方式では、昨年4月にトヨタ自動車が自社で使うFAネットワークの標準規格を、 これまでの"FL-net"を止め "EtherCAT"を採用すると決めた。

いまだフィールドバスの規格/方式は林立状態だ。

ICTネットワークのように、一日も早い 規格/方式の統一・収斂を期待したいところだ。


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